[プレスリリース]2019年度情報処理技術遺産認定

2019年度情報処理技術遺産認定

報道関係者各位
プレスリリース
                                    2020年2月28日
 

2019年度情報処理技術遺産および分散コンピュータ博物館認定

              一般社団法人 情報処理学会

 一般社団法人情報処理学会(会長:江村克己)は、我が国のコンピュータ技術発達史上の貴重な研究開発成果や国民生活、経済、社会、文化などに顕著な影響を与えたコンピュータ技術や製品など、次世代に継承していく上で重要な意義を持つ情報処理技術遺産の保存と活用を図るために、2008年度より情報処理技術遺産および分散コンピュータ博物館認定制度を設けています。

 第12回目となる本年度は、5件の情報処理技術遺産と1件の分散コンピュータ博物館を認定します。本来であれば、第82回全国大会(3月5日-7日開催)の中で史料の所有者をお招きして認定式を行う予定でしたが、新型コロナウイルス感染症が拡大していることを踏まえ現地開催の中止を2月21日に決定したため、当初認定式を予定していた3月6日を認定日とし、認定証の贈呈は後日別の場を設けて行うことといたしました。

●認定制度制定の背景と目的

 情報処理学会では我が国のコンピュータ発達史上の重要な成果や製品を当会ホームページの中の「コンピュータ博物館」に掲載して、紹介してきました。約1,700点の写真を含めてその史料点数は3,000点を超えており、月に10万件前後のアクセスがあるなど、多数の方々にご利用いただいております。

 しかしながら、それら史料の大半はすでに実物としては存在しておりません。コンピュータ技術の急速な発展や利用環境の変化の中で、古い技術や製品の意義が見失われ、廃棄されて急速に失われつつあります。情報処理学会では、現存する貴重な史料をコンピュータに特化した実博物館などで保存すべきと考えて各方面に働きかけるなど努力してきましたが、残念ながら未だ実現の可能性がみえません。

 このような状況の中で、わずかに残っている貴重な史料の保存を図るとともに、我が国のコンピュータ技術の発展を担ってきた先人たちの経験を次世代に継承していくことが急務と考えております。その一助として、情報処理技術遺産の認定制度を設けました。

 また、小規模ながら、貴重な史料を保存・展示しておられる資料室やコレクションが日本各地に点在いたします。それらをネットワーク化して利用を拡大することも有意義であると考え、併せて分散コンピュータ博物館の認定制度も設けました。

コンピュータ博物館 :http://museum.ipsj.or.jp/
情報処理技術遺産  :http://museum.ipsj.or.jp/heritage/index.html

●2019年度認定リスト

<情報処理技術遺産>5件
1)NECスーパーコンピュータSX-2 パッケージ
製造者:日本電気(株)
製造年:1985年
直接液体冷却方式のLSI高密度パッケージなどの技術を用いてマシンサイクル6ナノ秒を達成し、当時世界最速の1.3ギガFLOPSを実現した。

2)FACOM VPシリーズEモデルのMCCボード
製造者:富士通(株)
製造年:1987年
初めて1GFLOPSを超える性能を達成したVPシリーズの心臓部、400,1300ゲートのLSIを121個搭載したMCCボード。

3)HITAC S-820
製造者:(株)日立製作所
製造年:1987年
複数のベクトル要素を並列処理する要素並列パイプライン制御などの技術を用いて、当時世界最速の3ギガFLOPSを実現した。

4)地球シミュレータ
開発者:宇宙開発事業団、日本原子力研究所、海洋科学技術センター、日本電気(株)
運用開始:2002年3月
スーパーコンピュータの計算性能のベンチマークテストで2002年6月から2004年11月まで5期連続で世界ランクトップを維持した。

5)スーパーコンピュータ「京」

開発者:理化学研究所、富士通(株)
共用期間:2012年~2019年
2011年に世界で初めて10ペタフロップス(1秒間に1京回の計算)の計算性能を達成したスーパーコンピュータ。

<分散コンピュータ博物館>1件
1)富士通DNA館
富士通の通信・コンピュータ・周辺装置・部品(半導体他)を展示。ものづくりの"DNA"を継承する場として活用。


<本件に関するお問い合わせ>
企業名:一般社団法人情報処理学会
担当者名:会誌編集部門 TEL:03-3518-8371 Email:[email protected]