2022年度業績賞
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◆「政府相互運用性フレームワーク(GIF: Government Interoperability Framework)の整備」
[推薦理由]
貢献者らは, サービスやシステムを分野や地域を越えて連携させる政府相互運用性フレームワーク(GIF)を整備した.GIFは産業界でも活用できるデジタル社会の基盤として設計されており,データの参照モデル等を活用することで,データ設計・利用の高度化と相互運用性の向上が実現できる.IT産業の高度化はもちろんのこと,データを活用する全ての産業の高度化に寄与することが可能であり,グローバルなデータ環境の基盤として期待される.既に教育等の分野で活用が始まっており,本賞にふさわしいと判断する.
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平本 健二 君(正会員)
大手SIからコンサルティング会社,経済産業省,内閣官房を経て現職.国のデータ戦略の責任者としてデータ駆動社会実現に向けた改革を担当.既存の行政の枠では解決できなかった課題を,調査,検証からサービス展開までアーキテクチャに基づく一貫プロジェクトとして実施.国・自治体を通じたサービスを構築・運用をするとともに,将来ビジョンの策定などをグローバルな視点から推進.Society5.0やスマートシティのプロジェクトにも参加.現場とのコミュニケーションのため,市民や企業との協働イベントにも積極的に参加.稲垣 貴則 君
インターネット通販大手から経済産業省を経て現職.プロダクトマネージャとして法人向けデータ連携プラットフォームの開発・運用に従事し,行政手続きのAPI・ワンスオンリー推進を支援.データエンジニアとしてデータ相互運用性の実現に向けた,政府相互運用性フレームワーク(GIF)の普及・社会実装を推進.庁外活動では,Vyth合同会社のCo-Founderとして兼業.長谷川 亮 君
マーケティングリサーチ,Webメディア,リクルート,メルカリ等を経て2021年から民間専門人材としてデジタル庁に参画.ベース・レジストリの開発の他,データマネジメント領域では政府相互運用性フレームワークのデータモデル設計などを担当.また,Fact&Dataユニットとして,デジタル庁内のEBPM推進のためデータ分析基盤の開発も兼任.デジタル庁外ではメルカリでのデータガバナンス関連業務の他,株式会社風音屋アドバイザーを兼務.『データマネジメントが30分でわかる本』を共同執筆.竹本 和弘 君
(独)国立印刷局に入局後,情報セキュリティ大学院大学情報セキュリティ研究科修士課程修了.金融庁への出向などを経て,(独)情報処理推進機構(IPA)に出向.IPAでは,デジタルアーキテクチャ・デザインセンター(DADC)において,内閣官房及びデジタル庁とともにベース・レジストリのアーキテクチャ設計及びメタデータ設計に従事するとともに,政府相互運用性フレームワーク(GIF)のデータモデル設計を担当.藤本 勝裕 君
日本電気株式会社に入社後,システム開発部門での開発・運用・保守・品質保証に従事し,ソフトウェア品質保証を専門とする.(独)情報処理推進機構(IPA)に出向.IPAでは,デジタルアーキテクチャ・デザインセンター(DADC)において,内閣官房及びデジタル庁とともにベース・レジストリのアーキテクチャ設計に従事するとともに,政府相互運用性フレームワーク(GIF)のデータモデル設計を担当. -
◆「「つながるクルマ」のリアルタイムサービスを実現する技術の研究開発と実用化」
[推薦理由]
貢献者らは, 低レイテンシーなマップマッチング技術とアクターベースのトランザクション処理用高速インメモリ技術を利用した, コネクテッドカーのクラウド上でのリアルタイムサービスを研究開発し, 世界で初めて実用化した. すでにヨーロッパ, アジア, 日本で実運用されており, 対象車両台数が二百万台を超えるサービスもある. 車両から位置情報を受けて即座に情報を返すリアルタイムサービスは, 今後のコネクテッドカーの根幹となるもので, それをクラウドで実現・商用化しているシステムは他に例がなく, 業績賞にふさわしいと判断する.
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山本 学 君(正会員)
1991年日本アイ・ビー・エム株式会社東京基礎研究所配属.2008年4月同社東京研究所に異動.アクターによるインメモリ技術の研究開発に従事.コネクテッドカー向けクラウド製品のリアルタイム処理機構を開発の従事.現在, 同製品の技術リーダー.2008年3月京都大学大学院博士後期課程修了.2008年から2013年東京工業大学大学院連携教授.博士(情報学).情報処理学会会員.西林 和徳 君
1990年日本アイ・ビー・エム株式会社. メインフレームOS機能の開発やコール・センター ミドルウエアの開発に従事. 2015年からはコネクテッドカー向けクラウド製品の開発に参加, 現在はreal time処理の安定性含むシステムの安定性向上に従事.渡邊 将一郎 君
2004年東北大学大学院情報科学研究科博士前期課程修了.同年日本アイ・ビー・エム株式会社に入社.製造業向けソフトウェア・アセットの開発を経て,現在,コネクテッドカー向けクラウド製品のビッグデータ基盤開発を担当.笹谷 洋吉 君
1989年九州大学工学部機械工学科卒業.同年日本アイ・ビー・エム株式会社入社.以来,構成管理データベース,分散ITシステム管理,マーケティング管理,等のソフトウェア開発を経て,現在,コネクテッドカー向けクラウド製品の動的地図管理ソフトウェアの開発に従事.安部 麻里 君(正会員)
2000年慶應義塾大学大学院理工学研究科計算機科学専攻修士課程修了.同年より日本アイ・ビー・エム株式会社入社,東京基礎研究所勤務.2005年同大学院理工学研究科開放環境科学専攻博士課程修了. 博士(工学). Webアプリケーション開発環境,ビジネスプロセス管理に関する研究に従事し, 2016年より同社開発部門にてコネクテッドカー基盤開発に従事.2021年IEEE Services - Women In Services Computing (WISC) Team Award受賞. 情報処理学会,IEEE各シニア会員. -
◆「未知の状況にも適用可能な混雑度モデルの研究開発および商用化」
[推薦理由]
受賞者らは, 曜日, 時間帯, 天候など複数の条件に依存する地域の混雑度を, 別の地域の混雑度に基づいて学習したデータを用いて, 高精度に予測する方法を開発した. コロナ禍による混雑情報に対するニーズの急増に応え, Yahoo! JAPANの4アプリ(ポータル, 乗換案内, カーナビ, マップ)に, 2020年4月に導入した. 100本を超える報道がなされ極めて高い社会的関心を示すと共に, 特許出願40件, 国際会議発表10件, 情報処理学会UBI研究会優秀論文賞など受賞3件, 招待講演8件と技術的評価も高い. 上記を鑑み, 業績賞にふさわしいと判断する.
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坪内 孝太 君(正会員)
2005年東京大学工学部卒業. 2010年東京大学大学院新領域創成科学研究科博士課程修了. 同年東京大学特任研究員. 2012年よりYahoo! JAPAN研究所上席研究員. Yahoo! JAPAN研究所では人の行動ログ(位置情報, 検索ログ, 買い物履歴, センサーデータなど)に着目したデータ解析, 機械学習の研究開発に従事. 情報処理学会, IEEE, ACM, 人工知能学会各会員. 博士(環境学).下坂 正倫 君(正会員)
2001年東京大学工学部卒業. 2006年東京大学大学院情報理工学系研究科博士課程修了. 同年東京大学助手, 2015年より東京工業大学准教授. センサを活用した人行動解析, そのための統計モデリング手法に興味を持つ. 博士(工学).前田 啓輔 君
2015年東京大学大学院情報理工学系研究科修士課程修了. 同年ソニー株式会社(現ソニーグループ株式会社)入社. 以来, 同社R&D組織にてロボティクスプラットフォームソフトウェアの自立移動機能, 行動計画アルゴリズム, アーキテクチャの研究に従事.丸山 三喜也 君
2008年ヤフー株式会社入社. 保険, FX, TOTO, 震災TF, 占い, 路線といった各種サービス開発に従事. 路線サービスでは乗換案内データを用いた未来の混雑予測の研究を行い, 2017年度人工知能学会インタラクティブ発表部門にて優秀賞受賞. その後, 混雑予測システムを構築し機能実装. 現在も路線サービスにて開発業務に従事.山口 玲弥 君
2011年ヤフー株式会社入社. Yahoo! JAPANアプリ, 位置情報PF, 地図サービスに従事. ヤフー全体の位置情報の蓄積・活用プラットフォームの立ち上げを経て, 2019年より位置情報のデータディレクターとしてプライバシーに配慮した位置情報の活用を推進. 現在は地図サービスにてユーザー投稿の収集・活用を担当.