2021年度業績賞
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◆「グラフデータから発見を導く説明可能AIの技術開発と実用化」
[推薦理由]
貢献者らは,人やモノのつながりを表すグラフデータに対し高精度な推論と説明可能性を両立した独自のAI技術を開発した.医療領域では,グラフ表現された遺伝子変異と治療・投薬の関連から疾患の予測モデルを構築した.またスーパーコンピューター富岳上で遺伝子間制御ネットワークからがんの浸潤・転移に関する知見を一日で一挙に提示,医学研究でのAI活用の実現可能性を示した.金融領域では,海外企業との協業成功によりグラフXAIサービスに導入された.創薬領域では,コンソーシアムでの活動実績を基に化合物特性予測サービスが製品化された.以上,社会的インパクトをもたらすと共に,産業界へ顕著に貢献しており,業績賞にふさわしいと判断する.
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丸橋 弘治 君(正会員)
1999年京都大学大学院理学研究科修士課程修了.同年富士通株式会社入社,2002年株式会社富士通研究所へ異動.以来,バイオインフォマティクスやネットワーク解析を対象としたデータマイニングと機械学習,特にテンソルデータ解析を応用した大規模グラフデータ学習の研究開発に従事.2009-2010年米国カーネギーメロン大学客員研究員.2014年筑波大学大学院システム情報工学研究科博士後期課程修了.博士(工学).區 永義 (Au Wing Yee) 君
1991年スタンフォード大学電気工学/コンピュータ科学専攻修士課程修了.同年Fujitsu/Amdahl入社.1995年Sun Microsystems,1999年以降シリコンバレーにおいていくつかのスタートアップの立ち上げを経験後,2020年Fujitsu Research of America入社.グラフAIの研究開発,特に事業化に関わる応用技術の開発に従事.Tau Beta Pi-The engineering honor society会員.松尾 達 君
2005年大阪大学大学院情報科学研究科博士前期課程修了.同年株式会社富士通研究所に入社.半導体のテスティング技術やディーゼルエンジンのモデリング技術の研究開発を経て,現在はグラフデータ向け機械学習および説明可能性に関する研究開発に従事.Tolmachev Arseny 君
2016年京都大学情報学研究科修士課程修了.2018年言語資源賞を受賞.2019年京都大学情報学研究科博士後期課程単位取得退学.同年株式会社富士通研究所入社.以来,同社人工知能研究所にて機械学習の説明性と機械学習のグラフ応用の研究に従事.2021年株式会社ワークスアプリケーションズ・システムズにて自然言語処理の研究と形態素解析器Sudachiの開発に従事.2022年京都大学情報学研究科博士後期課程修了.博士(情報学).西野 琢也 君
2008年東北大学理学研究科博士前期課程修了. 同年株式会社富士通研究所入社. 厚木研究所における半導体デバイスの研究開発を経て2013年よりデータマイニング・及び人工知能の研究開発に従事. 現在はAIを活用したサービスを始めとするDX事業を担当. -
◆「パスワードレス個人認証技術の研究開発、標準化、および、商用導入」
[推薦理由]
受賞者らは,スマートフォンなど利用者デバイス内蔵の生体認証機能(指紋・顔等)を用いて,追加デバイスやパスワードなしで安全に個人認証できる技術を開発し,利用者数日本最大のYahoo! JAPANサービス(ニールセン調べ,2021年)の認証サーバに実装して世界で初めて商用化した.業界団体FIDOアライアンスで標準化され,標準化団体W3Cで勧告化された個人認証仕様WebAuthnを導入し,累計1,000万人以上の利用者に至っている.これらの取り組みは,ネットサービスの安全性と利便性の向上に大きく貢献しており,業績賞にふさわしいと判断する.
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五味 秀仁 君(正会員)
1996年京都大学大学院工学研究科応用システム科学専攻修士課程修了.同年日本電気株式会社入社.2001年-2003年スタンフォード大学コンピュータサイエンス学部客員研究員.2007年ヤフー株式会社入社.現在,Yahoo! JAPAN研究所上席研究員,セキュリティ・プライバシー,アイデンティティ管理技術の研究開発に従事.2021年度第69回電気科学技術奨励賞,CSS2021優秀論文賞受賞.情報処理学会,電子情報通信学会,IEEE,ACM各会員.博士(情報学).大神 渉 君(正会員)
2012年京都大学大学院情報学研究科知能情報学専攻修士課程修了.同年ヤフー株式会社入社.Yahoo! JAPAN研究所にて認証・アクセス制御の研究開発に従事.2021年度第69回電気科学技術奨励賞受賞.山口 修司 君(正会員)
2009年九州工業大学生命体工学研究科脳情報専攻修士課程終了.同年ヤフー株式会社に入社し,Yahoo! JAPAN IDの開発運用に従事.2015年よりYahoo! JAPAN研究所にて研究所エンジニアまたマネージャーとして,認証技術やデータサイエンスに関する研究開発等に従事.AsiaJCIS2020優秀論文賞,CSS2021優秀論文賞受賞.伊藤 雄哉 君
2009年にヤフー株式会社に新卒入社.2012年からYahoo! JAPAN IDの開発,運用,企画等に従事.現在ヤフー株式会社ID本部長.2020年よりFIDOアライアンス ボードメンバー,FIDO Japan WG副座長.ヤフーでのパスワードレスに関する取り組みについて2021年度第69回電気科学技術奨励賞を受賞.吉岡 知彦 君
2005年ヤフー株式会社に入社.Yahoo! JAPAN IDのサービスマネージャーとして,携帯キャリアとのID連携システムの提供や,ユーザビリティとセキュリティを両立したFIDOやパスワード無効化機能等のパスワードレスな認証手段をYahoo! JAPAN IDに導入して普及に従事. -
◆「公的統計として活用できる日本最大級の交通ビッグデータ:人口流動統計の開発と実用化」
[推薦理由]
受賞者らの開発した人口流動統計は,携帯電話基地局の運用データ(携帯電話の約8,300万台のサンプル(法人契約を除いてプライバシーを保護した所在エリア情報:注GPSではない)を活用し,1km四方等のエリア間の人の移動実態を日本全域で24時間365日にわたり把握できる国内最大規模の交通ビッグデータである.行政機関や民間企業において交通に係わる統計調査,まちづくり,交通計画,防災計画,観光分野やマーケティング等で多用されており,その有用性が高く評価されていることから,業績賞にふさわしいと判断する.
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今井 龍一 君(正会員)
2000年関西大学大学院工学研究科土木工学専攻博士課程前期課程修了.博士(工学)東京大学.日本工営株式会社,国土交通省国土技術政策総合研究所,東京都市大学を経て現在,法政大学デザイン工学部教授.2021年度東京大学空間情報科学研究センター客員教授.2016年度・2020年度文部科学大臣表彰科学技術賞「科学技術振興部門」受賞.2019年度・2020年度国土交通省i-Construction大賞優秀賞受賞.2022年日本オープンイノベーション大賞総務大臣賞受賞.池田 大造 君(正会員)
2004年マサチューセッツ工科大学(MIT)修士課程修了.2013年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了.博士(工学).1996年株式会社NTTドコモに入社.モバイルインターネット(iモード)を実現するパケット移動通信システム,位置情報を活用した人口推計技術(モバイル空間統計),画像認識AI,デジタルツイン開発に従事.現在,日本電信電話株式会社 新ビジネス推進室 統括部長.2020年度文部科学大臣表彰科学技術賞「科学技術振興部門」受賞.2022年日本オープンイノベーション大賞総務大臣賞受賞.重高 浩一 君
1992年京都大学大学院工学研究科土木工学専攻博士課程前期課程修了.1992年建設省入省,2008年国土交通省中国地方整備局鳥取河川国道事務所長,2011年国土交通省国土技術政策総合研究所情報基盤研究室長,2016年内閣府防災地方・訓練担当企画官,2018年復興庁岩手復興局次長を経て2021年4月より国土交通省国土技術政策総合研究所評価研究官.2020年度文部科学大臣表彰科学技術賞「科学技術振興部門」受賞. 2022年日本オープンイノベーション大賞総務大臣賞受賞.新階 寛恭 君
1995年東京大学大学院工学系研究科建築学専攻修士課程修了.1995年建設省(現国土交通省)入省.2014年愛媛大学教授.新潟市技監等を経て現在,国土技術政策総合研究所都市研究部都市施設研究室長.2000年度交通工学研究会技術奨励賞受賞.2020年度文部科学大臣表彰科学技術賞「科学技術振興部門」受賞.2022年日本オープンイノベーション大賞総務大臣賞受賞.関谷 浩孝 君
1997年立命館大学理工学研究科環境社会工学専攻博士前期課程修了.2004年南カルフォルニア大学公共政策学博士前期課程修了.2016年筑波大学大学院システム情報工学研究科社会システム・マネジメント専攻博士後期課程修了.1997年国土交通省入省.2016年関西大学大学院総合情報学研究科連携大学院客員教授. 2009年・2013年・2017年・2021年REAAA(アジアオーストラレイシア道路会議)片平賞受賞.2020年度文部科学大臣表彰科学技術賞「科学技術振興部門」受賞.2022年日本オープンイノベーション大賞総務大臣賞受賞.