「論文誌ジャーナル編集委員会での活動」
山名 早人(論文誌担当理事)
論文誌担当理事を拝命しまして1年半が経過しました。理事の期間は2年間ですから、自身としてできることには限りがありますが、編集委員および幹事の皆さんとともに論文誌ジャーナル編集委員会(年11回(8月を除く)開催、以下では編集委員会と略記)を通し、よりよい論文誌を目指して活動を行っています。
私が初年度に取り組んだのは、「二重投稿」「剽窃・盗用論文」「著者変更」「異議申し立て」に関する規程整備(2016年3月)と、原稿執筆案内における関連部分の改訂です。論文を投稿される皆様に、どのような場合に二重投稿になるのか、剽窃・盗用となるのかをきちんと説明することは大変重要なことです。特に二重投稿については、投稿される方が十分な認識を持たずに投稿されることで、二重投稿と判定されてしまうことがあります。これは、投稿される方にとっても編集委員会にとっても悲しいことですので避けなければなりません。
今回の改訂で、罰則規定が追加され厳しくなったように感じられるかもしれませんが、決して罰則を適用することが最終目的ではなく、二重投稿や剽窃・盗用論文について、投稿者の皆様に正確にご理解いただきたいという意図があります。また、この規定変更にあわせて異議申し立ての仕組みも明文化いたしました。編集委員会では、採否や二重投稿などの判定において間違いが起こらないように細心の注意を払っておりますが、人間が判断していることですので間違いが起こる場合もあります。ですから、そのような場合にはきちんと異議申し立てを受け付け、再審議できる環境を整えました。
また、二重投稿および剽窃・盗用につきましては、原稿執筆案内に付録を新たに設け、どのような場合に二重投稿、剽窃・盗用となるかについて論文誌編集規程を引用しつつ説明を追加いたしました。さらに、「二重投稿・剽窃・盗用に関するよくある質問」(FAQ)を別途設けることで、具体的事例と二重投稿に間違われないように投稿者として気を付けるべきことをまとめましたので、ぜひご一読いただければ幸いです。
さて、論文誌担当理事2年目も残すところ数カ月になってしまいましたが、2016年度も、新たな改革に取り組んでおります。編集委員会の役目は、皆様からご投稿いただいた論文の採否判定だけでなく、新たな特集号の企画・運営・承認、招待論文・推薦論文の承認、毎月の特選論文の決定など多岐に渡っています。そして、編集委員会では、こうしたルーチンワークだけでなく、よりよい論文誌を目指してさまざまな議論を行っています。「会員の皆様の立場に立ったあるべき論文誌とは何か」について、編集委員、幹事、副委員長、委員長が一丸となって議論することで改革が進んでいきます。論文誌は学会の「顔」であり、学会の未来を考えてよりよい論文誌を考え続けなければなりません。一方で継続性も大変重要です。
こうした議論をさらに活性化すべく、編集委員会と理事の関係を含め、どのような体制が望ましいのか、あるいは現在の体制がすでに理想型となっているのかについて議論を進めているところです。私の理事の残りの任期では完成しないかもしれませんが、こうした考え方を編集委員会で引き継いでいけるとよいと考えています。最後に、論文誌を支えていただいている会員の皆様、査読委員、編集委員会委員、幹事の皆様に心から感謝いたします。