「学会の役割について私が考えること」
今岡 仁(財務担当理事)
昨年度より財務担当理事を務めております。私が理事会に参加してみて初めて知ったことは、ジュニア会員の登録が無料で、小中学生でも登録できるということです。私には中学生の子供がいますので、さっそく登録してみました。中学生の子供にはまだ難しい点はありましたが、子供にとって学会というものが何かということを知ることができた点や、情報学に興味を持ってもらえたという点では非常に良い機会だったと考えています。このニュースをお読みの皆さん、ぜひご自身のお子さんや、生徒さんを入会に誘ってみてはいかがでしょうか。特に情報処理に興味がある高等専門学校生などは、今後の将来を鑑みて非常に良い機会だと思います。
最近学会の理事会でよく出てくる話として挙げられるのが、企業会員が少なくなったということです。確かに、一昔前と比べると論文などの最新情報はWeb経由で入手することができますし、論文を閲覧することだけが学会の価値だとすると、学会会員数の減少は理解できます。しかし、企業研究者の立場から見ると、研究会に参加している研究者とそうでない研究者では、学会に参加している研究者の方が知識の厚みがあり、周辺の研究者が何をしているかを知っているなど、研究者として長くやっていけそうな人が多いと感じています。企業研究者といえども自分自身の成長のためには学会の役割ははずせないと思います。
さらに最近、理事会内では、情報処理を利用する立場である異業種の方々にも入っていただけるような学会にすべきという議論があります。もし、これが実現できると、異業種の方とも自由に交流できる場としてますます学会の価値が高まっていくと思います。
さて、私の研究者としての本業は画像認識です。画像認識の研究もここ数年で、深層学習に大きく様変わりしつつあります。私が研究を始めたころは、ニューラルネットワークというと、パラメタチューニングが難しいなど、さまざまな問題がありました。しかし、最近の研究成果をみていると、以前は難しかった特徴抽出の自動設計ができることで、さまざまなデータの学習が容易にでき、高度な非線形の問題も比較的容易に学習できるようになっています。私自身は、そのことに対して時代の変化を感じるとともに、新しい応用ができるであろうと期待感を持って楽しんでいます。サポートベクターマシンが出てきたときも同じですが、新しい革新的な手法が出てきたときには研究自体がそれ一色に進みますが、また時間がたつとさまざまな方向に進化し、研究自体のダイバーシティが生まれてくるサイクルを繰り返しているように感じています。本会も、IoT・AI技術・ビッグデータ解析など今まさに時代が変わりつつあり、その中で中心的な役割を果たすべき学会であると思います。私も本会が変化することができるように働きかけていきたいと思っておりますので、今後ともよろしくお願いします。